2025/03/04 10:16:11
(AVkEVk7y)
さらに少し、指先の動きを細かくしてみる。一定のリズムを刻むように、でも時折テンポを変えて彼女の身体を翻弄する。じわじわと沸き上がるような感覚に、彼女の背筋が反り始め、「あ……あ…」という切ない声が連続して漏れはじめた。
まるで身体全体が一瞬硬直したかのように見えた刹那、彼女はお腹の奥で湧き立つものをもう抑えきれなくなったのか、声にならない声で叫ぶように口を開き、両手でシーツをぎゅっと掴む。その瞬間――小さな痙攣のような震えが、腰から太ももまで伝わっていくのがはっきりとわかる。
呼吸が止まったかと思うと、今度は一気に空気を吸い込むように彼女は大きく息をはく。そのまま数秒間、ピークの波にさらわれたように体をよじり、声を押し殺すようにして震えつづける。こちらがそっと手を動かし続けるあいだ、彼女はもう何も考えられなくなっているような表情で、タオルの奥で瞼をきつく閉じ、口元をわずかに開いている。
やがて強い波が穏やかになっていくと、彼女は長く深いため息をつき、ベッドに沈むように力を抜く。肩や太ももに残る小さな震えが、まださきほどの余韻が続いている証拠だ。
視界のない状態で絶頂を迎えたせいか、しばらくはぼんやりした様子で呼吸を整えている。声をかけると、ゆっくりと首を動かしてこちらに返事をしようとしているらしいが、うまく声が出ないのか、「ん…」という微かな吐息を漏らすだけ。
そのまま優しくタオルで目隠しを外してあげると、薄暗い部屋の光を受けた瞳は潤んだまま、ぼんやりとこちらを見ては、すぐにまた瞼を閉じる。まるでまだ夢の中にいるみたいに、頭の中が白くなっているのだろう。頬はかすかに上気し、唇はわずかに笑みの形を描いている。
手近に置いておいたバスタオルでオイルを軽く拭き取ってあげながら、「大丈夫ですか?」と声をかけると、ようやく小さく「うん……」と返事が返ってくる。まだ言葉にならない心地よさの残響と、自分がどう反応したのかを振り返って照れくさそうにする気持ちが入り混じっているようだ。
こうして穏やかな沈黙のなか、彼女はゆっくりと呼吸を整えていく。先ほどまでの激しさとは打って変わって、静かな安堵と幸福感が部屋に満ちている。この一連の流れこそ、普通のオイルマッサージでじっくりリラックスしてから段階的に感度を高め、最後にピークを迎えるという“特別な体験”の醍醐味だ。
すべてが終わり、タオルで目隠しをそっと外すと、彼女の瞳にはぼんやりとした潤みが宿っている。
「なんだか、あっという間でした……」
という小さな声を聞くと、こちらも満ち足りた気持ちになる。僕はそのタイミングで、「シャワー浴びてきてもいいですよ」と声をかける。彼女は照れ隠しのように軽く笑ってから、そのままの姿でバスルームへ向かう。全裸で部屋を移動する後ろ姿には、最初の緊張が薄れて穏やかな余韻を楽しむ余裕が生まれていた。